Hellor− カナディアン・ロッキー山脈の入り口の街‘バンフ’にてカナダ生活の第一歩を踏み出したまさしです。
あいにくロッキーガイドの仕事もなく、次に目指すは‘オーロラガイド’と目標を絞り、それに向けての下準備とそれまでの‘つなぎ生活’をするため、とりあえずの仕事に励んでいるところです。
選んだ仕事場はイタリアンレストラン。店名は「Old Spaghetti Factory (オールド・スパゲティ・ファクトリー)」といい、日本の僕の実家の近くにもある馴染みのあるチェーン店です。
「Old Spaghetti Factory」、略して「O.S.F」。
この店はなんとカナダが発祥だったということと、この時のバンフ店のスタッフ従業員には日本人が一人もいないということが、決め手となってここで働くことを決めました。
幸いレストランということで、従業員には賄いが支給され、パン、サラダ、スープ、ジュースは無料で食べることができ、スパゲティーならソースを選べて全て$1と、この賄いにはかなり食費を助けられることになりました。
こんなに頻繁にパスタを食べたのは初めてでしたが、インドでのカレー三昧を思えば、こんなの へっちゃらぷー です。
おまけにお客さんが食べ残していった‘残飯’も土産として持って帰ることができました。残飯といっても、ほとんど手つかずのものがたくさんあります。狙い目は集団客。みんなでまとめて大量に注文するので食べきれなくなり、手をつけていないのに下げられて来ることが多々あるのです。ちょっとぐらい手をつけてあっても、僕はまったく気にならないし、手つかずの部分だけきれいにナイフで取ってタッパーに移し替えれば新品同様。
一緒に住んでいるシェアメイトへのいい手土産となります。シェアメイト達の中での一番人気は‘ラザニア’でした。
カナダのO.S.Fは、はっきり言って日本人の口には合いません。
日本人のパスタの好みは‘アルデンテ’という、髪の毛一本分の芯がパスタの中に残るぐらいの固さでゆでるものですが、この店のターゲットとなっているカナダ人やアメリカ人は、のびちゃったような軟らかいパスタを好むのです。パスタが固いとクレームになるぐらいです。
日本人のお客が来店すると、店名が‘スパゲティー・ファクトリー’というぐらいだから、「スパゲティーが売りなんだろう」とほとんどの人がスパゲティーを注文してしまうのですが、食べてみると、案の定、
「なんだ!? このパスタ、ぐちゃぐちゃにのびてるじゃないか!」
と、こんな感じでクレームにこそならないけど、リピーターにつながらないのです。
では、おススメは? というと、パスタ以外のメニューはほとんど美味しいのです。
皮肉な話です。日本人の口には合わないのはパスタだけなのに、日本人の心をくすぐる店名が災いとなり、皆が決まってパスタを注文する。そしてまずい思いをしたお客は、リピ−ターとして他のメニューを試すことなく去っていくのです。アーメン。
働いているうちに面白いことに気付きました。カナダ人やアメリカ人のスパゲティーの食べ方を観察してみると、ほとんどの人がナイフとフォークで食べているのです。フォークは当たり前で、パスタにナイフ?
そうです。彼らは最初にパスタを細切れに切ってから、フォークですくうようにして食べているのです。縦横、‘井の字型’に切り刻み、パルメザンチーズをしこたまふりかけ、ぐちゃぐちゃに混ぜてから食べるのです。
はっきり言って見た目最悪です。O.S.Fで働いている他のスタッフ達も賄いを同じようにして食べていました。
彼らに「どうしてそんな食べ方をするの?」と尋ねると、
「べつにおかしいことじゃないだろ? こっちの方が食べやすいよ」
だとさ。
僕はイタリアにはまだ行ったことないけれど、聞くところによるとイタリア人はちゃんとフォークでマキマキして食べているらしいのです。
「この食べ方はカナダ特有のものなのだろうか?」
この先、旅をしていくにあたりチェック項目が一つ増えたような気がします。
まったく、しょーもないチェック項目だこと。
僕が与えられたメインの仕事は、バスパーソン、通称「バッサー」と呼ばれるポジションでお客がいなくなった後のテーブルの食器を片付けたり、次の客のためにテーブルにフォークやナイフを並べてセッティングしたり、時にはキッチンの補助をすることもありますが、基本的にははっきり言って誰でもできる一番下っ端の雑用みたいなものです。
本当は英語の勉強や経験のためにも、サーバーと呼ばれるお客と接して注文を取り、料理を運ぶ仕事が理想だったのですが、マネージャー(支配人)曰く、「この店のサーバーは少し特殊で、英語での話術はもちろんのこと、ある程度のフランス語も必要とのことで、英語もしくはフランス語でどれだけお客を楽しませることができるかがチップの全額に大きく影響する」らしいのです。
しかも観光地ということもあり、お客は店員にバンフの観光スポットやお土産に関してたくさんの質問をしてくるので、まるで‘ガイド’のように説明できなくてはいけないのでした。フランス語どころか英語もままならないバンフに来たばかりの僕には、「荷が重い」とはっきり断られました。納得!
カナダはアメリカ同様にチップの習慣を持つ国で、レストランで食事した時には、だいたい10〜20%のチップを置いていくと聞いてました。しかし、実際レストランで働いてみると、それは絶対ではなく、チップを置いていかない人もたくさんいました。
適当にサイフの中の小銭を数枚置いていくことの方が多い気がしました。
とはいえ、この職場でのチップによる収入は大きく月給を左右するものであり、基本給を法律限界まで安くしておいて、チップは全てスタッフで割るというこの店のシステムはスタッフの接客に対しての姿勢を向上させるのに効果をはっきしていました。
スキあらば仕事をさぼるカナダ人には、うってつけのシステムです。
夏がシーズン真っ盛りであるこの店は、けっこう繁盛していました。
夕方からは毎日のように入り口に列を作っていました。店内もけっこうな広さなのですが、満員の客、そして席の数と客の人数を考えて振り分け、席に案内していくウェイター&ウェイトレス、料理を運ぶサーバー、片づけるバッサーとが所狭しと行き交う様子は、今にもぶつかって料理をぶちまけてしまいそうな感じでした。神経を集中し、注意を周囲に張り巡らせて人とぶつからないように効率のいい動きを瞬時に判断していくのです。
僕は達人のサムライがひらりひらりと敵の刀から身をかわすかの如く動くようなイメージをして、この状況をけっこう楽しんでました。まるで道場で稽古をしているような気分で仕事ができました。
「カナダ人と一緒に仕事をすると、彼らの仕事に対する姿勢にイライラするよ」
カナダに住む日本人から、何件もそういう話を聞いていたのですが、一緒に仕事をしてみて今その意味を実感しました。
O.S.Fのサーバーは、やっぱりかなり優秀です。テキパキと動きも接客態度もなかなかです。ウェイター&ウェイトレスはまあまあで問題はバッサーでした。
バッサーは直接お客に関わってこないポジションなので、さぼることができるのです。もちろんそのしわよせは他のバッサーにきます。通常3〜6人のバッサーがシフトに入るのですが、それぞれ仕事をなすりつけ合っているようにも映るのです。チップは一度サーバーがすべて回収し、その日の夜の閉店後に全員に分け合います。だからバッサーはがんばって働いていても、ダラダラと働いても時給もチップも入ってくる額は変わらないのです。
日本人とカナダ人では、明らかに仕事に対する姿勢が違います。日本人は世界的にもまじめな人種で、勤務時間内は当然しっかり働きます。
しかしカナダ人は、‘あわよくばやりたくない’、‘限界まで見てみぬふりをして、どうしようもなくなった時やり始める’、‘問題ならない程度に仕事をする’、この姿勢が染みついてます。
もちろん全員が全員そうではありません。世界的に見たらカナダは先進国なだけに、頭のI.Qも高い方とされていますが、日本人と比べると仕事に対する姿勢は比にならないのです。
ここの職場だけの話をしているわけではありません。販売店でも受付でもホテルの掃除するハウスキーパーでも同じことが言え、日本人とカナダ人が共に仕事をしたならば、問題なく日本人に仕事が偏ることでしょう。
カナダ人でも特に要注意なのが、ケベック州出身のカナダ人。通称‘ケベッカー’です。
噂には聞いていましたが、ケベッカーは特になまけ率が高いです。ケベック州はフランス語圏でカナダ国内にありながらもほとんど英語教育はされておらず、日本人よりも英語が話せない人達がたくさんいます。英語では‘フレンチ・カナディアン’という呼ばれ方をしています。よくケベッカーは、仕事中にさぼりながら同じケベッカー達とフランス語でくっちゃべっているのです。
バンフはカナダ人も訪れる観光地なので、リゾートバイトとして出稼ぎにくるケベッカーの数も多く、カナダ国内の中でもケベッカー人口の多い場所なのです。
さぁ、そんなケベッカーを含めたなまけカナダ人。
彼らを動かす側の雇い主にとっては、
「どうやってさぼらせないで働かせるか?」
というのが難題となっていて、あの手この手を使って働かせようとしていうのが現状でした。
ある日、フロアマネージャーが一つの案を思いつき実行しました。
どうでもいいけど、このマネージャー・・・・僕に話しかける時には‘ウィンク’するのです。ゲイかな?
「よし! 今夜は一番いい働きっぷりをしたヤツには夕食をごちそうするぞ。メニューの中から好きなものを選んでくれ!」、と。
おいおい、そんな子供じゃあるまいし、食べ物で釣ろうなんていくら何でも・・・。
と思いきや、普段さぼっている面々がウソのように働くではありませんか。まったくわかりやすい人達です。
そんなケベッカー達ですが、どうせ一緒に働くのなら、何か彼らからも頂けるものは頂いてしまおうと、一日一単語のフランス語を教えてもらうことにしました。
カナダは基本が英語ですが、すべての商品にフランス語が共に表記してあるので、フランス語が学びやすい環境にあります。これも今回の旅のメインであるアフリカに向けての第一歩です。
閉店後の掃除をしていて、つまらないことに気が付きました。
僕が洗剤をつけたモップで床をジャブジャブこすっていると、そこを通過していくスタッフたちはみんな足の裏を滑るようにこすりつけて汚していくのです。
「コイツら、人がせっかくモップがけした所を何考えているんだ!?」
と最初は思いましたが、よく見るとみんな洗剤がたくさんついているツルツルの床の上を選んで、スケートのように滑っているのでした。十中八九みんなが滑っていくのです。
そう言えば、この国の国技はアイスホッケー。カナダでは子供の頃からアイスホッケーを習って育ってきている人がほとんどなのです。
「な〜るほど、そういうことならしょうがない・・・」、って言うかボケ!
何度磨いてもすぐに汚れちゃうじゃないか! 本当に人のことを考えない、どうしようもない連中だ、とフロアマネージャに言いつけてやる! と思った矢先、
「マサシ、Good job!」
そう言いながら、シャララーンとウィンクを一発弾かせて、フロアマネージャーが滑り去っていきました。
はぁ・・・。ブルータス、オマエもか。
同じ仕事仲間でとっても素敵な女性に出会いました。彼女の名はステファニー。
透明感のあるキレイな顔立ちとどこか味のある雰囲気に、僕は何度か視線を奪われました。僕は思いました。
「ひょっとしてこの世に女神様がいるとしたら、こんな感じかな?」、と。
そしてさらに、「この人の肖像画があったら部屋に飾りたい!」とまで思いました。
そんな女神はけっこう大胆で、大雑把な行動をとられます。ゴミ袋をぶん投げるように捨てたり、ふざけてる友人に対して、「ファック!」と吐き捨てながら中指を立てられるのです。
そんな光景を見る度に僕は、
「あぁ、女神様そんなはしたないことを・・・」と、一人で勝手に楽しんでます。
僕はマニアでしょうか?
僕がこの職場で一番衝撃を受けたのが、キッチンで働いているコック達でした。
キッチンにはいつもヘビメタやハードロックのノリノリの曲が大ボリュームで流れいました。そしてその曲に合わせて、コックたちが歌いまくっているのです。毎日のことなのでCDのレパートリーも限られてきて、次にかかる曲もみんな覚えています。曲によってはパートが決まっていたりもしています。だんだんキーが高くなる曲では、最後は怒鳴りあっているようでもあります。
まさに奥田民生がユニコーン時代に歌っていた『マリア』状態です。
歌うことに夢中になり、パスタがのびているんじゃないのかと思った時もありました。そんなにぎやか雰囲気のキッチンにサーバー達が料理を取りに入ってくると、彼らもその合唱に参加するようにハモリ、叫びちらして、また何もなかったようにキッチンを出て料理を運んで行くのでした。
僕はこのキッチンの雰囲気が大好き!
英語の歌の歌詞こそ解からないけど、その合唱に参加したくてたまらないのです。
もし日本だったら、「仕事中になんだ! 不謹慎な」、と言われてしまうのでしょうね。
みんなが楽しんで仕事をしています。声を張り上げながら料理をするその姿には誇りさえ感じました。まるで海に出た海賊達が歌を歌いながら、いかりを上げたり、帆を立てたりリズムに乗ってオールを漕いだり、そんな姿が浮かび上がりそうでした。
と思いきや・・・、
あれれ? 窓の外には壮大なロッキー山脈が! なんだ、コイツら山賊だ。
妙に小奇麗な衣装をまとった山賊達は、ナイフやフライパンでリズムを取って歌います。
♪ オレたちゃ 泣く子も黙る山賊コックさ
何も奪いとりゃしねーが 山ほど食ったら銭だしな
自慢のパスタを山の空気とからめて食えば
足並み軽く山頂目指せ!
足元ばかり見てんじゃねーぜ 下を見るにはまだ早い
あご突き出して山頂目指せば 曇った空もすぐ晴れる ♪
な〜んて聞こえてきそうです。
そんな山賊達と時々飲みに行くことがあります。バンフで飲みに行くといえば、バーで飲んだ後に‘クラブ’というか‘ダンスホール’に踊りに行くことが、いつものパターンなのです。僕は飲み会はまだしも、‘ダンスホール’にはできるだけ行かないようにしているのです。やかましい所は好きじゃないという事もありますが、それ以上にいかにも‘娯楽’という雰囲気と会話のないあの場所からは得ることが少ないのです。
最初の何回かは一応経験として行っていましたが、それももう十分です。
とは言え職場でのつきあいも大切だし、改めて現地の人と一緒に現地スタイルで騒ぎに行くこともその国の体験として必要なことと思い、この職場のメンバーとも何度か同行しました。こういう場所では、タガが外れたように山賊達はいつも以上に騒ぎます。
例の女神も踊られます。スタイルのいい体を大胆に振るわせ、我々のような下僕どもを魅了されます。
「あぁ女神様、そんなハレンチな・・・」
僕はもう信者というより、ほとんど‘爺や’状態です。
僕も踊り自体は嫌いでもないので、行ったからには何か一撃彼らにぶちかまさなくてはいけません。普段そんなにコミニュケーションが取れているわけでもない僕には、言葉の壁を越えているこういう時にこそ自分をアピールするチャンスなのです。
初めて山賊達と踊りに行った夜、僕はインパクトをつけようとかなりがんばっちゃいました。それ以降、みんなの中には『マサシ=ダンス』というイメージがついてしまったようで、何かあるとすぐに踊りに連れて行かれるようになってしまいました。
それだけでならまだしも、仕事中でさえ、
「ヘイ、マサシ! ダンシング、ダンシング」
と、振ってくるようになってしまい、僕としても無視するわけにもいかないので、その度に軽く踊ってみせるような面倒くさい習慣が定着してしまったのでした。
仕事中、一日に何度か「ダンス、ダンス」と振られます。
こんな日が何日も続くと、踊りのレパートリーというか持ちネタがなくなって来ます。そうなると、調子に乗らされているダンサーは、家から踊りを振られた時の返し技である持ちネタを用意してくるようになってしまいました。
僕はいつも制服のまま家から通勤しているので、家の時点で制服に着替えます。フォーマルな制服にエプロンを着けたと同時に自分の部屋で踊ります。
これが、まさし流‘仕事モードへ頭の切り替えの舞’なのです。
時々、窓ガラスに映る己の姿が目に入ると、我に返る時があります。
「ロッキー山脈でガイドをするつもりだった自分は、一体何をしているんだ? ロッキーでロックンロールか!?」
まぁ、いいです。そんな疑問は今はとりあえずエプロンで扇ぎ飛ばして、リズミカルにローラブレードに乗って通勤です。まるでオーロラのように風になびくエプロンを横目に想います。
「オーロラガイドにならなくちゃっ!」、と。
すぐにバッサーの仕事にも慣れ、がむしゃらに働く自分の姿が店で一番効率よく機敏な動きで働けていることに自分自身でも気付きました。そんな僕の姿を見て、フロアマネージャーは言います。
「マサシ、キミには今までで最高のバッサーだよ☆」
そして、シャララーンとウィンク一発!
ゾクッ!? 一体どう最高なのさ?
仕事ができるようになるにつれて、周りの態度にも変化がありました。他のスタッフ達が僕に話しかける時には必ず「マサシ」という名前を添えて呼ぶようになったのです。
「マサシ」という名前は、サ行が2回続くので英語圏の人には発音しにくいのです。いつも自己紹介するものの、すぐに忘れられてしまします。
そりゃそうでしょう。もしロシア人あたりに、
「初めまして、ストラビンスキーです」と言われたって、
「えっ!?何スキー?」。まっ、いいか、「あのなんちゃらスキーがね・・・」
てな具合に、耳に馴染みのない名前は覚える気も起こりませんよね。
しかし、仕事において一目置かれるようになると、
「オマエの名前をもう一度正しい発音で教えてくれ」と、聞いて来て、「マサシ、マサシ」と連呼しながら暗記してくれるのです。そして、
「Hi、マサシ」、
「Good job! マサシ」、
「Good bye! マサシ」
と、会話の一文の中に必ず「マサシ」という名前が入るようになったのです。
これは嬉しいことです。
「あの有名な曲『展覧会の絵』って誰の曲だったけ? え? ムソルグスキー? スキー・・そうか、ロシア人か。んで、何スキーだって? ムソルグ・・・スキー、覚えにくいな。ムソルグ、ムソルグ・・・、よし、たぶん大丈夫」
て、こんな感じ。
名前を覚えてもらえたということは、「認められた」ということだと勝手に自分に言い聞かせています。
そういえば、英語は、「Do you」を代表に、「you」という便利な単語を多用できてしまう言語で、ついついそれに甘んじてしまったこと、僕にも思い当たる節がいくつもあります。
「あれっ? この人『ボブ』だっけ? 『ボビー』だっけ? まっ、いいか。Hey you−」
にんともかんとも。
「これからは友人の名前を数多く口にしていこう。不自然じゃない程度に口にしていこう」
そう、キッチンに響く山賊の歌にハモリつぶやきました。
♪ 「がんばって! トオルさん」
♪ 「すごいですよ! ミユキさん」
♪ 「ありがとう! ノリコ」
♪ 「燃え上がれ! ガンダム」 ♪
ちゃんちゃん。
そして、
「感謝してます。父さん、母さん、姉ちゃん」
これもありだね。
ある日、あまりにも適当に仕事をする同じバッサーの後輩に、イライラしながら仕事をしていました。その思いをたまりかねて、アルバイトとして働いていた一人の高校生の男の子にぶちまけました。彼は、両親は日本人だけど、カナダ生まれのカナダ育ち。つまり日系カナダ人で日本語もペラペラでした。カナダで言う「ジャパニーズ・カナディアン」というヤツです。
「なんでカナダ人はこんなにも仕事しない人が多いの? どういう神経してるんだ?」、と。
すると彼は、土足でテーブルに両足を乗せたままこう言いました。
「人によりますよ。でもね、マサシさん。ここはカナダです。たとえば、僕は今脚をテーブルの上に乗せていますよね? 日本ではこれは良くないこととされています。でも、ここではいいんです。僕もカナダ人ですから、これでいいと思います」
あらららららっ、高校生にこういう形で諭されるとは・・・。なんだか目からパスタが落ちたような気分です。
生活のためにと始めたこの仕事。レストランでも学ぶことはいっぱいです。もうしばらく、山賊の歌に合わせてブギウギ踊るつもりです。
さて、この次は・・・。
ひき続きバンフにて生活と仕事をしながら、オーロラガイドに合格に向けて動き出します。
そして「M棟」を出発した後の新しい家での生活も始まります。
それでは、SEE−−YAA−−−−−−−−−−
FROM まさし